2025年12月19日
広島でWeb制作やWebマーケティング支援を行っている、株式会社フォノグラムです。
今回のテーマは、「生成AIの利用浸透と実践的な活用方法」です。
生成AIについて以下のようなお悩みはありませんか?
本記事では、そのようなお悩みを抱えている方に対して、フォノグラムでの生成AI活用の実例とノウハウを紹介します。
実際に社内で様々な業務において生成AIを活用している私たちが、どのように浸透させていったのか、リアルな活用シーンと注意点、そして安全に活用するための方法をお伝えします。
※今回の記事はアドビ社のPR企画「みんなのAI活用」に参加して執筆しています。
生成AIが話題になっているものの、実際にどう使えばいいのかわからない、特定の業務にしか使っていない、という人も多いのではないでしょうか。
フォノグラムも、生成AIが話題になり始めた2023年頃は、生成AIを活用してみたいとは思っていたものの、うまく使えなかったり、特定の業務にしか使っていないというメンバーも多かったです。
理由を聞いてみると、以下のようなコメントが多く上がっていました。「分かる~」という方も多いのではないでしょうか。
生成AIツールは数多く存在し、それぞれ特徴が異なるため、自分に合ったツールを見つけるのが難しい
生成AIの可能性は理解できても、自分の業務にどう落とし込めばいいのかわからない
機密情報の取り扱いや、生成されたコンテンツの信頼性に不安を感じる
しかし、現在のフォノグラムでは、誰もが様々な業務において積極的に生成AIの活用を行い、業務効率化を実現しています。そこに至るまでの経緯をお伝えしながら、実際の活用シーンも紹介していきますので、ぜひ自社への導入にお役立てください。
フォノグラムは、決して人数の多い会社ではありません。業務範囲は多岐にわたっており、1人のメンバーが複数の業務を兼任しています。今日はこの業務だけを行う、ということはほとんどなく、1日に複数の業務を同時進行で行う場合も多くあります。そのため、切り替えのスピードと、1つ1つの作業を完了させて返すスピードが重要になっています。
また、業務範囲が広いこともあり、得意でない領域もカバーする必要があります。例えば、Webディレクターがエンジニアリング領域の窓口も担当する際は、エンジニアに相談することはできますが、概要は知っておきたいところです。
そのため、全メンバーが専門領域外でも「すぐ形にできること」を増やすべく、まずは職種の垣根を越えて生成AIに触れる「文化の醸成」を推進することにしたのです。
フォノグラムでも、最初に生成AIを活用していたのは数人でした。しかし、生成AIの可能性を感じた熱心なメンバーによる布教活動を通して、「職種にとらわれず、生成AIを試す文化」が醸成されました。
具体的には、以下のような取り組みを行ってきました。
社内チャットツールに生成AIに関する情報を共有するチャンネルを設置し、メンバーが気軽に質問や情報交換ができる環境を整備しました。
例えば、こんな情報がやり取りされています!
Webにある情報ではなく、同じ業務に関わっているメンバーからの情報に触れることで、より自分事としてとらえやすくなり、「ちょっとやってみようかな」という機運が醸成されやすくなりました。
AI活用にチャレンジする社内イベントを開催しました。チームごとに生成AIを使って自由な展示物を作ってみることで、業務という枠を取り払うことができました。「生成AIでこんなことができるのか!」という経験を通じて、生成AIの可能性を感じることができました。
このイベントで生成AIを使ったゲームづくりの楽しさに目覚め、社内教育用のゲームや社内会議の当番割り当てツールを作ったメンバーもいます。
これまで書いてきたオウンドメディアの記事を読み込ませて生成AIで作ったオリジナルかるたをこのイベントでテストプレイし、展示会で集客グッズとして活用しました。
導入当初はエンジニア向けのツールとして社内認知されていたツールでしたが、非エンジニアでも参加できる勉強会を開催し、幅広い職種で生成AIを活用したものづくりを行うきっかけになりました。
この勉強会の直後に、非エンジニアの人事担当者が会社説明会用のゲームを作り、実際に会社説明会で学生たちに体験してもらいました。
もちろん、各自の業務でも活用しています。私たちが実際に生成AIを活用しているシーンの一部を紹介します。
エンジニアリング領域においては、AI駆動開発を積極的に実施し、開発のスピードアップを実現しています。
開発速度が大幅に向上し、より多くの機能開発に時間を割けるようになりました。3名で行っていた開発を、1名でこれまでより早く開発できるようになった案件もあります。
マーケティング領域においては、広告文案を複数提案してもらうことでアイデア出しの効率化を実現しています。
生成AIに複数の案を出してもらうことで、人間だけでは思いつかないような切り口の文案が生まれることもあり、アイデアの幅が広がりました。
広告の文案パターンをこれまでの2倍の量で出してテストできるようになり、より改善のスピードが上がっています。
マーケティングやコンテンツ作成で必要なライティング業務でも、生成AIの活用が進んでいます。既存記事を読み込ませて文案のたたき台を生成し、チェックにも生成AIを活用することで品質向上を図っています。
デザイン業務では、Fireflyを活用した画像の調整、Adobe ExpressのAI機能を活用した背景除去など、手間がかかる作業を時短しています。
例えば、手に持っているものを置き換えるのもAI(Firefly)で手軽にできるようになりました。
従来は専門的なスキルや時間が必要な作業でしたが、生成AIを活用することで、非デザイナーでも一定のクオリティの画像を作成できるようになりました。
バックオフィス業務では、契約書チェックなどのAI支援により、ミス削減・確認時間の短縮を実現しています。
結果、確認作業の時間が半分以下になり、より重要な業務に時間を割けるようになりました。
とはいえ、フォノグラムでもあらゆることに生成AIを使えば良い、と考えているわけではありません。
生成AIを使う際には、生成AIの回答を鵜呑みにしないことはもちろん、情報の取り扱いにも気を配っています。
生成AIを活用する際には、以下の点に注意が必要です。
生成AIツールに入力した情報は、学習データとして使用される可能性があり、誰かの回答として使われ、漏洩するリスクがあります。そのため、機密情報や発売前の情報は絶対に入力しないようにしています。
生成AIは非常に優秀ですが、間違った情報を生成する可能性もあります。そのため、生成された内容は必ずファクトチェックを行います。
生成AIが作成したコンテンツが、既存の著作物と類似している可能性があります。そのため、著作権を侵害していないかのチェックも重要です。
さまざまなAIツールがあります。ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)や、DifyやCursorなどのツールもあります。ツールに専門分野を学習させ、専門家のような回答を期待できるものもあります。
ツールによって、得意な分野や不得意な分野、学習の有無をコントロールできるものとできないものなどの特性があります。1つの大規模言語モデルを使い続けるよりは、用途によって適したものを選ぶことが重要だと考えています。
例えば、Adobe Acrobat AIアシスタントのように「参照範囲が限定されたツール」を選ぶことで、ファクトチェックが容易になり、上述のリスクを回避しやすくなります。
次章では、Adobe Acrobat AIアシスタントの活用例を紹介します。
Adobe Acrobat AIアシスタントのように「参照範囲が限定されたツール」を選ぶことで、ファクトチェックの手間が軽減されたり、学習に使われるリスクを回避できたりします。
Adobe Acrobat AIアシスタントは、PDF編集でおなじみのAdobe Acrobatに搭載されたAIアシスタントです。対象のPDFの内容のみを参照し、チャット形式で回答を返してくれます。
その他詳しい機能はAcrobat AIアシスタント 完全ガイドをご覧ください。
Adobe Acrobat AIアシスタントを活用することで、例えば、以下のような時短につながります。
Google AnalyticsのレポートをPDFでダウンロードして、メールに添えるコメントを書いてもらうことができます。
PDFの内容のみを参照するため、どこの数字のことを指しているかも明確で、チェックが楽です。さらに、複数のPDFを横断して分析することも可能なので、複数のレポートをダウンロードしてまとめたコメントを生成することもできます。
Adobe Acrobat AIアシスタントを活用することで、Google Analyticsのレポートを正確に反映した効果的なメールコメントを作成できます。
資料ダウンロードのページを作る際に、ダウンロード対象のPDFを読み込んで、ダウンロードを促すコメントを考えてもらうことができます。
Adobe Acrobat AIアシスタントを活用することで、資料の内容を正確に反映した効果的なダウンロードページを作成できます。
社内共有のドキュメントを見てほしいときに、Teams等の社内コミュニケーションツールに投稿する紹介文を作ることができます。
Adobe Acrobat
AIアシスタントを活用することで、社内メンバーがPDFの内容を素早く理解し、必要なアクションを取れるようになる紹介文を作成できます。
実は、PDFファイルだけでなく、Word、PowerPoint、テキストファイルなどの形式もAcrobat上で読み込ませることが可能なので、社内で展開したい情報をより魅力的に伝える手助けになります!
Adobe Acrobat AIアシスタントは、対象PDFの内容のみを参照するため、ファクトチェックも容易で、安心して活用できるツールです。回数に制限はありますが無料で試すこともできますので、ぜひ一度使ってみてください!
このように、用途に応じて、適切な生成AIツールを選ぶことで、安全かつ効率的に生成AIを活用していきましょう!
フォノグラムでは「生成AIを使う=専門職の代わり」ではなく、「自分の作業を一歩楽にするツール」として活用しています。
本記事で紹介したように、生成AIを活用することで、ある程度のレベルまでのアウトプットを素早く得られるようになり、業務スピードの向上につながっています。
ただし、セキュリティやリスク管理は重要です。機密情報の取り扱いやファクトチェック、著作権の確認など、適切な管理を行いながら活用することが大切です。
用途によっては、Adobe Acrobat AIアシスタントのように「参照範囲が限定されたツール」を選ぶことで、リスクを回避しやすくなります。
小さく試すことから始めると、自分の仕事でもすぐに効果を実感できるはずです。
生成AIを活用して、業務効率化を進めていきましょう!